黒海とカスピ海に挟まれたコーカサス地方の5000メートル級の山々が連なるコーカサス山脈の南麓に位置するジョージアは、およそ3000年もの歴史を誇る国です。「文明の十字路」とも称されるコーカサス地方は常にアジアとヨーロッパの貿易や交通の要所で、多様な民族と宗教が入り混じる土地であり続けてきました。
歴史的に見れば、ローマ帝国、ビザンツ帝国、ペルシア帝国、アラブ帝国、オスマン・トルコ帝国、モンゴル帝国、ロシア帝国など大国に幾度も占領されましたが、ジョージア人は言語や宗教など、独自のアイデンティティーを維持し守りぬき、独自の文化を発展させてきました。公用語は古くからの歴史があるジョージア語で、ユネスコ世界遺産として承認されているジョージア文字を使用しています。宗教は、4世紀初頭から主にキリスト教(ジョージア正教)が信仰されています。
1921年ジョージアはロシア赤軍に占領され、約70年間ソヴィエト連邦を構成する共和国の1つでした。しかし、ソヴィエト連邦に組み込まれた当初から独立の機運は高く、1980年代にはバルト三国と共に独立運動が活発化し、1991年ついに独立を果たしました。1990年代には政治や経済で極めて深刻な危機に直面しましたが、21世紀に入ると多くの改革に成功し、現在に至るまで目覚ましい成長を遂げています。
現在、自由民主主義の国家として欧米の国際機関への加盟を目指し、さまざまな経済分野の発展を進めています。長い歴史や独特の文化、豊かな自然、治安の良さで、世界中の旅人を魅了する観光大国となっています。
年月 | 概要・略歴 |
180万年前 | アフリカにつぐ、世界で2番目に古いホモ・エレクトス(直立人)が居住 |
紀元前12世紀 | 黒海の東方と東南方に、ディアオヒ王国とコルヒス王国という初のジョージア系の王国が建国 |
紀元前6世紀 | 黒海の東方にコルヒス王国が地域大国として登場 |
紀元前4世紀、 | 東ジョージアにイベリア王国が建国 |
紀元前3世紀、 | パルナワジ国王が始めてジョージアを統一し、ジョージ文字が普及 |
4世紀 | キリスト教が国教化(ジョージア正教) |
1世紀〜7世紀 | ジョージアがローマ帝国、ビザンツ帝国(東ローマ帝国)、ペルシア帝国間の覇権争いの舞台となる |
7世紀後半 | 7世紀、アラブ帝国により征服される |
11〜13世紀 | ジョージアの黄金時代 |
13世紀 | モンゴル軍が初めて来襲 |
16〜19世紀 | オスマン帝国とペルシア帝国の覇権争いの舞台となる |
19世紀 | ロシア帝国により征服される |
1918年 | 独立宣言により、ジョージア初の民主共和国が成立 |
1921年 | ジョージアはロシア赤軍に占領され、およそ70年にわたりソヴィエト連邦を構成する共産主義の共和国となった |
1991年 | ツヒンヴァリ自治州においてロシアとの戦争が勃発 |
1991年 | ソヴィエト連邦共和国からの独立回復を宣言 |
1992年 | アブハジア共和国においてロシアとの戦争が勃発 |
2003年 | 「バラ革命」によりシェヴァルナゼ大統領(元ソ連外相)が辞任 |
2004年 | サーカシュヴィリ政権が成立し、大々的な政治や経済の改革を実施 |
2008年 | ロシアとの間で、アブハジアや南オセチアをめぐる紛争が勃発 |
2012年 | 議会選挙で野党が勝利し、初の選挙による民主的な政権交代が実現 |
2018年 | サロメ・ズラビシュヴィリが初の女性大統領に就任 |
2019年〜現在 | ギオルギ・ガハリアが首相に就任 |